こんにちは、軟体動物です。
今回ご紹介するのは、毎年春が近づくと配信が始まる名作ドラマ、『コントが始まる』です。もはや僕の中で春の季語と化しています。
2021年の4月から日本テレビ系で放送され、菅田将暉さん、仲野太賀さん、神木隆之介さん、有村架純さん、古川琴音さんがメインキャストを務めました。
ネタバレにはなりますが、1話時点で明らかになるしあらすじなんぞ調べればすぐ出てくるのでいいよね。
売れないお笑いコントトリオ(菅田さん、太賀さん、神木さん)が解散の決断を迫られ、家族と、師やマネージャーそしてお互いの、自らとの関わりの中でそれぞれの進むべき道を探していくお話になっています。
つまり、これはトリオの”終わり”の話なのです。
そして、毎年春に無料一挙配信するのにふさわしい、“新たな一歩”の話でもあります。
若い子たちのずっと一緒にいようね、という言葉に儚さや眩しさを感じて胸に刺さるようになったのは、一体いつからでしょう。生きていく中で、だんだんと「ずっと一緒に」がいかに難しい約束であるか身をもってわかる人も多いと思います。
オタクはすぐ永遠を誓わせたがるし、○○フォーエバー(号泣)などと言います。が、永遠などないことくらい末期オタクにも分かっています。永遠でないからこそ、どうか今だけは、あるいは出来るだけ長く一緒にいてほしいと切に願ってしまうのです。
けれども、一緒にいることだけが素晴らしいことなのでしょうか。
一緒にいたとしても心が離れていってしまうこともあります。一緒にいることではなく、自ら別々の道に進んでいくことも、ずっと一緒にいることと同じくらいに尊いことであるとこのドラマを見て実感させられました。
なぜなら、たとえ離れてしまっても一緒にいた時間とその事実は、消えることはありません。終わらせることが必ずしもつらいこととは限らないのです。
このドラマを見ることで、終了するコンテンツに対する視点が増えると思います。推しが卒業してしまった人、もうすぐ卒業してしまう人、生きがいを失ってこれからどうやって生きていこうかと思っている人は、どうか最後まで『コントが始まる』を見てほしいと僕は思います。
そして、挫折を経験したり、がんばることを恐れているみなさんへ
明日への一歩を踏み出す誰かの背中を優しく押すようなドラマだと思います。特にがんばって報われなかった過去がある方々に刺さるかと。
なにより、脚本・金子茂樹さんによる鮮やかで素晴らしい構成がドラマとして見事です。少しでも興味を惹かれた方、ドラマ好きの方、出演者陣がお好きな方、そして生きがいの喪失を経験したことがある方は是非ご覧になった方がよいと思います。
せめて3話まで見て。話はそれからだ。
今回はここまで
(初出: 2022年3月、2024年2月加筆)